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抹茶茶碗を焼いてみました。 [陶芸]

 以前15キロほど購入していた志野土を発見しました。一度もビニール袋から出していないのにカチカチに固くなっていました。
 その瞬間、制作意欲がなえてしまい、しばらく放っておいたのですが、備前土1号も使い果たしたことであるし、再生することにします。
 とりあえずワイヤーでスライスしてみたのですが、なんとも固くて大変でした。できるだけ薄くスライスし、水を入れたポリバケツに浸けて3週間ほど放置しておきますと、泥状になっていました。
 例によって自作の粘土吸水鉢を使い、再生します。十分に練った後数日寝かしてから使います。 
 
reborn1.jpg
 
志野焼きとは
 
 釉調は淡雪のような白いもので、厚くかかっています。素地土の鉄分がその淡雪のような釉薬を通して赤みがさして見えます。見どころは何といっても柚子肌の釉薬ですが、のびのびとした野趣あふれる造形や、絵・文様も重要な要素だと思います。 
 素地土はもぐさ土という焼きしまりにくい土を使うため、お茶が染み出すことがあります。志野釉も、高い温度で焼くと、きれいに融けて純白ではなく半透明になり、ピンホールもできず、面白みがありませんから、自分の場合、市販の釉薬は低めの温度で焼成するようにしています。 
 極めて味わい深い焼き物です。素人目にはあの無骨さが「自分にもできそうだ。」と見られがちですが、良い志野焼とは、単なる無為自然の産物ではなく、作者の工夫、経験、人知を尽くし、なおかつ自然の力による調和のとれた作品で、決して簡単にできる焼き物とは言えないでしょう。
 
まずはろくろ挽きです
 
sagyouba11.jpg  私の作業場所はリビングです。床にシートを敷いて、ご覧のような状態でロクロ作業をしています。必要なものだけ用意して作業し、済んだらすぐに片付け、拭き掃除をします。何といっても「リビング」ですから。出しっぱなしにしていると床から机、いすやテレビ、なんでもざらざらになってしまいます。本当は大きなロクロを買いたかったのですが、片付けることを考えるとこの小型がよかったですね。いつもはクローゼットの中に収納しています。
 
suyaki1.jpg  700度で素焼きをしました。普通は窯に4~5個入るのですがこの筒型は2個しか入らず、もったいない気がしました。私はろくろ目を付けるのが嫌いなのですが、志野焼きはろくろ目の一つもなければ面白みが出ないような気がするので、軽く入れてみました。 しかも無造作で面白味のあるろくろ目がいいと思うのですが、私の技術では無理なようです。
 
コンプレッサーで施釉します
 
seyuu12.jpg  電動ろくろに乗せて、まわしながら少しずつ志野釉を吹きつけていきます。釉薬が粉っぽくつかないように、流れそうになる一歩手前で止める要領で吹きつけると定着がよいと思います。あらかじめ素焼きの素地にベンガラを薄くぬって焼いてみることにしました。
 
sino12.jpg  焼きあがりました。酸化焼成で1220度。ピンホールは少なく、色合いもおよそ雪のような白さではありません。次回はもう少し厚く施釉してみようと思います。縁には濃くベンガラをぬっていたので、黒く発色しています。薄くベンガラを塗ったところも黒っぽくなっていました。本当は緋色を狙っていたのですが無理なようです。緋色を出すためには長時間の焼成と徐冷が必要だそうで、やはり電気窯では無理なのでしょう。
 
donburi.jpg
 釉薬は志野ではありませんが、志野土で、白天目釉を使うとどうなるかを実験してみました。白天目釉をスプレーガンで吹付け1220度で焼成。
 「プティ」を使い始めてから気になっているのですが、天目釉の剥がれが100%起きるようになりました。おそらく昇温プログラムや素地と天目釉の相性が悪いのでしょう。
 結局直径22センチになりました。これで冷やし中華をいただきます。
 
sino411.jpg sino511.jpg  これは志野釉で焼いたものです。バケツに溶いた釉薬にくぐらせて施釉し、底についた釉薬をブラシで落としてから焼成しました。
 志野というより、透明釉という感じになりました。焼成温度は1240度です。  
 
sino611.jpg  やはり志野焼きは難しいと思いました。私のようなA型人間には厳しい分野だと思います。期待していた緋色も釉薬の縮れも再現できませんでした。日をおいて何度かまた挑戦してみようかと思います。
 
天目茶碗の制作
 
 天目茶碗を作ってみます。粘土は信楽を使うことにしました。理由は特にありません。10キロを1000円くらいで購入した物ですが、1230度で焼いた作品が焼け締まらず水が漏れることがあったので、やや不安です。
 
tenmoku211.jpg tenmoku12.jpg  天目茶碗独特の「すっぽん口」はまず写真のように内側に鋭く口を折り、胴に緩やかに膨らみをつけてから、最後に口に濡らしたなめし皮を当て、外側に広げて作ります。
 
tenmokuseyu11.jpg  素焼き後に黒天目の釉薬をコンプレッサーで吹きつけました。
 普通は茶碗の高台をつかみ、釉薬を溶いたところに浸けて沈め、上下に素早く振りながら引き上げることにより施釉しますが、この茶碗は高台が小さく持ちにくかったので、高台付近まで浸けこみ、引き上げてから内側のみコンプレッサーを使いました。
 
tenmokuseyu21.jpg  写真の通り、釉薬は均一にかかりますが、粉が吹いたようになっています。
 これを防ぐためには流れる寸前まで吹きつけ続ける必要があります。内側だけに流れてしまっては問題がありますから、これで焼いてみます。
 
図1.jpg  不満はあれど無難に焼きあがりました。口縁部に釉薬の剥がれがあります。1230℃で焼きましたが、やはり信楽の素地土は焼け締まっていません。
 釉薬の方は薄いところではアメ色になるほどよく溶けています。釉薬と素地土の相性はよいとはいえません。しかし、このたびは施釉をスプレーガンによる吹付で行ったせいか、きれいにできたと思います。 
   
禾目天目も焼いてみました
  
nogime11.jpg  禾目天目です。新日本造形の釉薬を使いました。酸化焼成です。以前焼いたときは上部が茶色で、下部が漆黒となり、茶色が毛のように流れて、黒に溶け込む感じでしたが今回は釉薬が違うので別な焼き上がりになりました。     
 色見本通りの茶色に金色の禾目が見られます。その形状や色合いは場所によって程よく変化しており、光の当たり加減で様々な表情を見せてくれます。 
   
図1.jpg 図1.jpg  黒天目の釉薬で黒い禾目になったことがありました。これは、作ってから何年も放置していたものを攪拌して使ったのですが、容器の底の方に何かが沈殿したままになっており、(灰色の物質)偶然できた小さな油滴が流れたものと思われます。銀色の禾目がきれいに出ていました。

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