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ねじ穴の修理 [工作]

 今回は、つぶれた金属のねじ穴を修理する方法についてUPいたします。
 ねじが空回りしてしまらない。あげくのはてに引っ張るとねじが抜けてしまったという経験は誰にも覚えがあることでしょう。

  鍋の取っ手など、熱が加わるものや、締めたり緩めたりしなければならないもの、強い力が加わる部品など、接着剤で補修できないものは修理をあきらめて、捨ててしまうことも多いかと思います。
 
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 さて、これは3980円で購入した安物のドリルスタンドです。高さを調節して固定したいのですが、写真中央のストッパー(ねじ)が壊れたらしく、空回りしています。当然固定できません。
 ねじの素材は鉄ですが、ねじ穴が切ってある部品の素材はアルミでした。おそらく何度も使っているうちに削れてしまったのでしょう。アルミのフライパンなどの取っ手がよくこのようになります。
 分解してみました。なるほどねじ穴の山がほとんどつぶれています。これはたいへんな力がかかる部品であり、ねじを締めたり緩めたりを繰り返さないといけない部分なので、接着剤での補修はできません。
   
stand21.jpg stand31.jpg  ねじを切りなおしたいところですが、アルミのねじ穴対鉄のねじですから、どうしても使っているうちにアルミのねじ穴が削れて緩くなり、そのうち壊れてしまうでしょう。
     
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 これが今回の救世主となる「リコイル」と呼ばれるものです。バネのような部品で、エンジンのプラグのねじ穴の修理によく使われています、熱に強く頑丈です。
 壊れたねじ穴をドリルで削って少し広げ、タップでねじ穴を切ってから、矢印の部分をラジオペンチではさんでくるくるとねじ込みます。なお、写真は上下が逆になっているので注意しましょう。取り付け後に矢印の部分を折り取ります。マイナスドライバーなどをあてて軽く金づちでたたけば簡単に折れます。
     
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 ねじを切るタップとダイスのセットです。昔3000円くらいで購入したものですが、サイズで困ることはありませんでした。安物ですが、買っておけば一生モノです。
 これを使うときはドリルスタンドと万力が必要です。今回はそのドリルスタンドを修理するのですが...。
   
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 そのドリルスタンドには小さな万力が付いていたので、アルミの部品をはさんで固定し、ドリルの刃を慎重に回転させ、古いねじ穴を削ってきれいにすることに。
 「リコイル」は内径8ミリを使用するので、外径はおよそ10ミリになります。従ってドリルは9ミリを使いましたが、やはり対アルミなので、刃に粘り付いて回転が止まってしまいます。こんな時ドリルスタンドがあれば簡単に穴が開くのですが。
 穴あけが失敗すればすべては終わりなので正回転、逆回転、低速、高速を繰り返して慎重に作業を進めます。
   
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穴が開いたので今度は10ミリのタップでねじを切り込んでいきます。
 タップとダイスのセットにはピッチをはかるゲージが付いているのであらかじめピッチを調べておきます。
 ねじのサイズは径だけでなく、ピッチも確認してから適合する「リコイル」を購入しなければなりません。同時に径とピッチの適合するタップを選んで、正しく作業しましょう。ねじ切りは失敗が許されません。
 相手はアルミなので、径は大きくても楽に作業できます。ただし万力がないと無理でしょう。
   
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 さて、ねじ穴があいたら「リコイル」をねじ込んでいきます。小さなラジオペンチではさんでくるくるっと。
 簡単に入るので、なんだかそのうち抜けてしまうのではないかと考えたりしますが、このバネのような構造がそれを防ぐようです。
 ねじ込みに使った部分を折り取り作業終了。
     
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 ご覧の通りきっちりとねじがはまるようになりました。「リコイル」は鋼鉄なので、もう削れてしまうことはありません。
 アルミは加工しやすいので、このような量産品の安物の材料に使われるのでしょうが、このひと手間で長く使える道具に生まれ変わります。
   
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 修理は完了し、将来的にもねじ穴がゆるくなる理由はなくなりました。このドリルスタンドは、あまり使っていなかったので今回修理しようという気になったわけですが、80円の品だったので、処分して新しいものを買うという選択肢もありました。
 安さの理由はすぐに壊れることにあるのでしょうが、やはり直して使うべきだと思います。そうしたエコな取り組みが広がればいいと思うのですが、「リコイル」の存在を知らなければ私も修理はしなかったとも思いました。
 この部品はまずホームセンターでは扱っていませんし、専門店でも必要なサイズが手に入るとはかぎりません。また、1個50円くらいなのですが10個単位でしか売っていません。ネットで購入すると高くつきますが、私のように工具を持っている人は購入の機会に各サイズをそろえておくのもよいでしょう。
 オフィスの椅子のねじなどもよく壊れますが、さっと直せると、ちょっとかっこいいですね。

タグ:ねじ穴修理
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