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棚板の補修 [陶芸]

 最近棚板の補修をしました。今までは釉薬が流れて棚板についた場合ディスクグラインダーで削り落としていましたが、新品はカーボランダム製の棚板の表面は美しくアルミナでコーティングされています。その状態に戻すことは無理だと思っていました。棚板に水で溶いたアルミナをぬって補修をするものだと思っていたからです。したがって棚板の表面はグラインダーで削られ、がたがたに。これでは作品を水平に置くことができません隣の作品や炉壁に当たってしまいます。
 
arumina11.jpg  ところがこれは私の勉強不足で、アルミナは炉内の保護に使うもので、焼いても粉です。棚板をもとのように復元するには「アルミナコーティング」(写真右)を使えばよかったのでした。     
   棚板の傷やへこみが埋まるように刷毛で塗っていき、乾かしながら紙やすりでフラットに削る作業を繰り返し、あとは窯に入れて1200度以上で焼いてしまえばあら不思議。完璧に新品同様になりました。カーボランダムの棚板はまず割れることがありませんから、このアルミナコーティングさえあれば何度でも美しくよみがえるのです。
   
重傷の場合のはつりかた
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 ご覧のとおり棚板の上に大量の釉薬が焼きついています。ここまでくるとタガネではつるにも根気が必要です。  
   ディスクグラインダーにダイヤモンドカッターを取り付け、少しずつ削っていくと、アルミナコーティングも削れますが、焼きついた釉薬をきれいに剥がせます。
     
   ディスクグラインダーはカッターの側面を棚板の焼きついた釉薬の部分にかすらせるように当てながら、カーボランダムを傷つけないように慎重に削っていくと3分くらいで写真のようになります。
 
軽傷の場合のはつりかた
 
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 ドリルの先にやすりを取り付けて必要最小限に釉薬を剥がします。  
   右は、ついてしまった釉薬を剥がした状態の棚板です。もともと塗られていたアルミナコーティングも剥がれて、カーボランダムの色が黒く見えていますね。
 カーボランダムは非常に固く、グラインダーで削ったくらいでは損傷しないと思いますが、万が一のことを考えてアルミナコーティングを全部剥がさないで補修することにします。
   
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 アルミナコーティングです。
 液状ですが沈殿していますので、とりあえず蓋をしたままよく撹拌します。次に筆などをつかって、容器の底からしっかりと混ぜます。
 
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 必要な量を取り出して、乳鉢で丁寧に塊がなくなるまで擦ります。

 剥落してへこんでいる部分に筆を使い盛り上がるくらいにアルミナコーティングを塗っていきます。
 
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 表面がでこぼこになっています。ある程度乾燥させてから耐水ペーパーで気長に磨き、表面をフラットにしていきます。

 
 
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 ある程度平らになってきたら、刷毛で厚みが均等になるようにアルミナコーティングを塗り重ね、乾燥させては耐水ペーパーで磨くという作業を繰り返します。
      
 右が完成した状態です。少々凸凹があっても問題ないのでしょうが、使っていて気持ちがいい方が好きです。十分に乾燥させてから1200℃以上で焼けば補修は終了です。

タグ:陶芸 棚板
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電気窯で備前焼を焼いてみました [陶芸]

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 左は前回に備前土の鋳込みで作ったビアマグとそば猪口、薬味皿のセットです。

 全部一つ型で作りました。この形で量産ができるようなので、手始めに緋だすきで焼いてみることにしました。

 最終目標は松灰での焼成でございます。
   
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 藁を叩いたり揉んだりして柔らかくしておき作品に巻き付けます。藁と土が接する部分がオレンジ色になるのですが、大体の予想しかつきません。
 緋だすきは釉薬を使いませんから1250℃で焼成しても作品どうしがくっつきません。ただし、藁の当たっている部分で、土がよく溶かされ、くっついてしまう場合もあります。
 しかし、木槌などでやさしくたたいてやれば、簡単にはずせます。
重ねて焼かないほうが無難かもしれません。
   
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 小型電気窯「プティ」に窯づめしたところです。熱線を使っている電気窯では緋だすきを焼くと窯がいたむので実のところあまりお勧めできません。最近ついに熱線の取り換えとなり、費用は45,000円でした。
 経験上備前土は1230℃付近の焼成に適したブレンドがされているようなので、それ以上の温度では表面がざらついたり、火ぶくれができます。1280℃などの高温で焼成すると、新品からわずか8回の焼成で熱線の交換になられた方もおられたそうです。備前土は1号も2号も1220℃がベストだと思っています。
 
   
備前陶土の価格差の謎 
 
 備前陶土は現在人工的にブレンドされて自然に近いものが生産されています。本来は田んぼの底深くにある土を掘りだし、精製してから数年寝かせたものをつかっていましたが、そのような土は現在大変貴重なものとなっています。
 さて、10キロの価格が、A店では 2,835円。B店では3,780円。C店では1,600円などと格差がありすぎ。当然これに送料が含まれるので、どの店で購入すればよいのか頭が痛いです。前述したように粘土の成分が違うので、使ってみないとろくろ挽きの時の扱いやすさや、耐火度、焼成後の土肌の違いなどの善し悪しがわかりません。
 私は近所のC店で購入しています。自宅まで届けてくれ、そこで代金を払います。送料、手数料なしです。備前焼の本当の良さがわかるようになったら高い土にも挑戦してみたいと思っています。  
 
蕎麦猪口が焼きあがりました。
 
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 とりあえず火入れをして24時間後に完成。温度は1250℃でうまく焼け締りましたが、あまりにも素地が薄かったようで、薬味皿が歪んでしまいました。
 前にも述べましたが、1230℃を超えないように焼くほうが表面はなめらかに仕上がるようです。ただし、強度には問題があると思います。分厚い作品の場合は、まったく問題ありません。
 そば猪口自体は歪みもなくうまくできていたのに残念です。次回は少し厚めに鋳込んでみようと思います。 
   
やっと念願のビアマグができました。
 
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 左の写真は焼成前と焼成後の比較です。乾燥と焼成で約2割縮むといわれていますから、ある程度計算をしたうえで鋳込み型を作る必要があります。
 割り型にするとつなぎ目が変色するので釉薬を使わない特に緋だすきには不向きです。したがって一つ型でつくりましたが、割り型とちがって、自然に型から離れるのを待たないといけないので1日1個作るのが限界のようです。
   
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 厚さ2ミリ、高さ17センチで手の中の納まり具合も気に入りました。こいつを冷蔵庫(冷凍室)でキリキリに冷やしておき、ワイルドに飲んでみたいものです。
 食器棚に入らないので冷凍室が食器棚代わりです。ビール500mlを氷点下に冷やしておくと、ちょうど納まるサイズにできました。
 ただ、どうも緋色の景色が気に入りません。大量生産して気に入ったものができるまで飲むのは我慢いたします。  
   
少し工夫して焼いてみました。  
 
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 乾燥させたところでキッチンペーパーやガーゼを使い表面を徹底的に磨いてから焼成すると、しっとりとした艶がでました。
 間違っても紙やすりなどを使ってはいけません。傷が目立ち、安っぽい仕上がりになります。
 以前窯元さんから聞いたのですが、備前焼は釉薬を使わないので、表面のマチエールである程度勝負が決まるということでした。滑らかに仕上げると緋色が流れるようについていくということでした。
 最初に焼いた表面がざらざらな作品と比べると高級感がまるで違います。日進月歩でございます。 
   
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 前回タコ糸で藁を縛り付けましたが、今回は輪ゴムで固定してやりました。むろん輪ゴムがやけてなくなっても藁が取れてしまわないようにしておきます。
 こうすれば素人の私でも意図的に襷模様を入れることができます。藁の間隔だとか角度だとか、思いのままです。
 まず、作品に輪ゴムをかけて、藁を輪ゴムと作品の間に通していきます。模様のことを計算しながら藁の位置を移動していきます。普通の輪ゴムを使うと、その成分のせいなのか色が付くことがありますので付け加えておきます。
   
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 納得ができるまでこだわりぬいておきますと、焼き上がりが実に楽しみになりました。
 蕎麦猪口の薬味皿は裏返すとなんとなくいい感じで茶碗蒸しに使うときはこれで使おうと思っています。
 なお、前述しましたが皿は厚めに鋳込まないと歪みます。最終的に1220℃~1230℃度にするとブクもでず、歪みも少なく、緋色も優しくなることがわかりました。何度も言いますが、プティではこの温度の焼成が最適だと思います。 
   
ついに完成いたしました。  
 
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 やっと思うようなビアマグができました。写真の解像度が悪いのでうまく写っていませんが、土肌の艶やかさは、備前緋だすき特有の香り立つような色気を感じさせてくれます。気に入ったのはこれ一つですが、このあたりが陶芸の醍醐味でしょう。
 冷凍室で凍らせておいて、きりりと冷えたビールをゆっくりと注ぎます。すると器の周りについた霜がゆっくりと解けていき、景色が変わっていきました。
 ふんわりと泡がメレンゲのように膨れ上がり、口にすると、何とも言えない感触を味わうことができました。 薄づくりで、磨き上げということもかなり重要で、口当たりが実に心地よいものでした。
   
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 粘土10キロでビアマグ12個とそば猪口13個、薬味皿15個ができました。
 やはり終盤になってくると石膏型が甘くなったり、粘土の状態もなんとなく悪くなってきましたのでいいものばかりできたわけではありませんが、仲間と遊ぶには十分な数ができたと思います。

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自宅で陶芸をしましょう [陶芸]

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部屋にこれだけのスペースがあればOK
 
 自宅で陶芸をする。これは魅力的です。仲間と陶芸教室で活動したこともありましたが、家庭の事情や仕事で日程があわない、個人的に制作意欲がわかない、作品作りの資金がないなど、それぞれの都合で集まれなかったり、自分が使いたいときに誰かが道具や材料をを独占していたりするなど、問題が山積みでした。
 作品を批評しあうのは刺激になってよいのですが、結論からいうと、楽しく自分の気に入った作品を焼き上げられれば良いわけで、自分のペースでできるのが一番だと思うのです。それには自宅が最適なのですが、作業場所や窯やろくろなどの設備をそろえるのが難しく感じられ、自宅で日曜陶芸家を目指す方は日々夢と現実の間をさまよい、悶々としています。しかし、実は難しくないのです。
 
道具は自作で安くそろえよう
 
 私はアパート住まいのころから少しずつ道具を集めていきました。中古品をさがしたり、へらやこて、たたら板やカメ板、などは自分で作り、延べ棒は100円ショップで手に入れました。
 
 右の道具は作業終了後、ろくろから粘土をはがす時に必携。簡単に作れます。細い部分を握り、粘土を押しはがします。これがないと後片付けが大変。
 厚さ2センチの板で、素材はラワン材が丈夫で適しています。
 先端(前部)はカーブをつけて尖らせると使い勝手がよいです。ホウの木や、杉材、合板では耐久性に問題があり、すりへったり、ひびが入って割れてしまいます。 
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 一番上は箸の先にスポンジを針金で縛りつけたものです。ろくろ引きで作品の中にたまる水を取り除くのに使います。
 その下はろくろ引きで作品のふちの高さを整えたり、板づくりで粘土を切るときなどに使う針です。箸の先をカッターなどで割り、縫い針を挟んでから配線用のタイラップで締め付けて作ります。
 その下は壊れた傘の骨を使い、先をとがらせて作った小穴をあける道具です。急須の茶こし部分を作るときに、うまく穴をあけられます。 
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 ホームセンターで極細のワイヤーと細い木の棒を購入し、粘土を切るための道具を作りました。
 木の棒に細い穴をあけ、ワイヤーを通した後、真鍮の釘を挿して、ワイヤーを釘に巻き付け金づちで打ち込んで完成。既製品を購入しても安いのですが、消耗品なのでたくさん作りました。結果、単価がかなり安くなりました。
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 自作のコテ、ヘラ、櫛です。櫛は竹の合板で作りましたが、糸鋸で切ったところ、まっすぐに切れにくいのでので苦労しました。バンドソーを使えばおなじ間隔で切り込めるようです。
 コテのたぐいは、ベルトサンダーがあればすぐにできますが木工やすりでも簡単に成形できます。材質はホウの木で十分です。木目を良く考えて折れないように作りましょう。
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 石膏型の管理ですが、せっかく気に入ったものができても使ううちに型が甘くなっていきます。いいのができたときは、必ずシリコンゴムで型を保存しておきましょう。何度でも再生できますし、陶芸教室などを開くことなどを考えている方は、これによって大量に型を複製できます。たとえ購入した物であっても、第3者に販売・譲渡しない限り犯罪には当たらないでしょう。商品のコピー販売・譲渡は犯罪です。
 上が原型で下がシリコンゴムで取った型です。これはコーヒーカップの取っ手ですが原型の周りを油粘土で囲んでシリコンゴムを流し込み、数時間放置することにより、簡単に取ることができました。
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 石膏で粘土の原型から型をとりました。テストピースを作る型です。粘土を押し込み、数秒時間をおいて取り出せばテストピースができます。釉薬の調合を実験するためには必要です。短時間で数百個同じ型の物ができます。
 右下の写真がテストピースです。釉薬を調合してから記録をとっておき、番号をつけます。
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 右が素焼きの状態で、上部の厚い部分に調合した釉薬の番号を呉須などを使って筆で記入します。
 下部の広い部分に調合した釉薬を塗ります。左が焼きあがった状態です。当然焼成温度・時間・酸化還元のデーターも残しておきます。
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 乾燥した粘土を再生するための石膏製粘土給水鉢も買えば5千円もしますが、台所にあったボールを型にして石膏で作れば5百円でできます。10万円以上する土練器など、個人購入は無理なので、この石膏鉢は必需品です。
 大きなボールに半分くらい石膏を溶いたものを入れてその上から水を入れて重くした小さいボールを押し込み、石膏が固まったら外して完成です。前もって離型剤(カリ石鹸)を塗っておき、乾燥させてから石膏を流し込み、1時間後、木づちでボールを軽くたたけば簡単に外れます。
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 固くなった粘土はカラカラに乾かしてから水を入れたバケツに入れておきます。するとどんどん崩れていき泥状になります。それを石膏鉢に流し込み、1昼夜放置して、指で押さえてやや固めになっていればOK。
 水分が抜けておれば、鉢ごと裏返すと粘土だけがストンと落ちます。そこから荒練り、菊練りをしてビニール袋へ保存しましょう。
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 もし柔らかすぎる場合は馬蹄形にして少し乾燥させてから練り直しましょう。まだ少し柔らかいかな?というあたりでしっかりと練っておきます。
 練り終わってからビニル袋へ入れたら数日寝かせます。すぐさまろくろにかけても良い結果は得られません。
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小型電気窯「プティー」を購入  
   
 窯は最近シンポ工業の「プティ」を値切って15万円で購入しました。これはお買い得でございました。人気商品となり、現在22万円くらいでの販売となっています。
 20年前に購入した小型電気窯はマイコン制御で当時30万円もしたのですが、どうしても1230度の昇温ができません。問い合わせたところ、きっちりと100ボルトの電気を流さないと1230度以上に昇温しないということなのです。知らなかったのですが、当時、自宅の家庭用コンセントでは96ボルトくらいしか得ることができなかったのです。とうとう小型のトランスを購入するハメに。
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 「プティ」は内径が24センチと小型電気窯の中では広く、これも温度が上がるのかどうか心配の種ではありましたが、問題ありませんでした。1280度は余裕で昇温します。マイコン制御で使い勝手は実にいい感じです。独自の昇温プログラムも組めます。しかも以前の物より格段に軽く、取っ手もついて運びやすい。通販でも売っていますが、このような消耗品?はアフターケアが大切だと思い近くの陶芸材料店から購入いたしました。
 
プチ陶芸の必需品
 
 グット電機製の小型電気ろくろです。重さは24㎏で、テーブルの直径は25㎝、「プティ」と相性の良い大きさです。
 レバーによる無段階変速です。素人が趣味で使うには十分な大きさとパワーです。ドベ受けがついているのでリビングで普通に使っていますが振動でドベ受けが音を立ててうるさいのでつなぎ目を布テープで留めたところ解消いたしました。
 掃除も楽々、ドベ受けは劣化しにくい素材で作られています。
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 ナカトミの オイルレスコンプレッサー CP-100です。
 定格時間: 15分、吐出量:毎分30L、タンク容量:6L、設定力:0.68Mpa(7kgf/平方cm)です。
 小型ながらパワーは申し分ありません。ただ音がかなりうるさいですね。
 ダントツ安かったので約8千円で購入。ただ、タンクが小さいので空気圧の低下が早く、作業が止まってしまいます。しかしそのことで、吹きつける最中に釉薬が流れてしまわないため、むしろ好都合かもしれません。
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 同じくナカトミのエアー4点キットAK4-2です。
 スプレーガンにタイヤチェッカー、エアーダスター、ホース付きで約3,500円にて購入。
 上の写真のコンプレッサーと使っていますが、濃いめの釉薬も詰まることなく吹きつけることができています。
 スプレーガンも色々使いましたが、目詰まりがないのはこれが初めてでした。広範囲に噴射できますので釉薬をきれいにかけることができます。 
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 くろは以前使っていたものが古くなって、ドベ受けも割れてしまったため、とある施設に寄付しました。というのもドベ受けだけ購入しようとしたところ、生産中止になっていて、手に入らなかったためでした。私の場合はリビングで使うという目的がありましたので小型にこだわりがありましたし、ドベ受けは必要でした。本当は大型がほしいのですが、部屋を汚くしないためには持ち運べる小型に限ります。いつもはクローゼットに収納しています。
 エアーコンプレッサーとスプレーガンは趣味の陶芸家には必需品だと思います。多少釉薬が無駄になるように感じますが、私のような素人は釉がけの失敗で8割がた作品をだめにしてしまいます。吹き付けは屋外か風呂場でやっています。
 購入については通販でまとめ買いがお得です。しかし、この手の商品は同じものでも価格の差が店によって激しいので、よく調べないと大変な損をしてしまいますから要注意です。

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松灰による電気窯での備前焼に挑戦 [陶芸]

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部屋にこれだけのスペースがあればOK
 
 今回はいよいよ松灰を使って、しかも電気窯で備前焼に挑戦します。さて、上の写真ですが、これが私の陶芸スペースです。屋外には丈夫な工作台もあるのですが、夏場は暑いうえに蚊の集中攻撃を受けるので、もっぱら室内で楽しんでいます。
 ご覧の通りわずかこれだけの小さなシートの上でろくろを挽いています。狭いがゆえに汚さない努力ができるのだと思います。広い場所ですと、動きやすいですが、気が付いた時には片付けに覚悟がいるほど汚してしまい、かえって大変なのではないかと最近思っています。
 
nigou11.jpg nigou211.jpg  左が備前土2号です。前回の緋だすきでは、備前土1号を使いましたが、色が違って、黄土色です。以前これに山土のブレンドされたものを使ったことがありましたが、赤黒く焼きあがったのを覚えています。
  おそらく同じようになるのではないかと期待してやってみることに。
 
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 登り窯では松灰は空中を乱舞しながら真っ赤に焼けた素地に付着していきます。それが長時間繰り返されることによって自然釉となります。
 ところが、電気窯ではそうはいきませんから焼成前に素地にふりかけて焼きます。
 垂直な部分はうまく定着しないかもしれません。したがって、皿のような形がよいと考え、サラダボールをまず一つ。
 
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 やはり夏は乾燥が早いです。少々分厚いのですが半日で底削りまでいきました。備前の皿や鉢はあまり薄づくりにすると弱々しく感じるので縁だけでも厚くするようにしています。
 落款もきれいに押せました。作ってよかったと思います。なんとなくプロになった気分ですね。
 
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 浅めの皿を作りました。やはり縁は厚めに土を引き上げておきました。いつもならこの程度の作品は5ミリ厚で挽きますが、やはり備前はどっしりと風格を持たせたいので8ミリくらいの厚みにして縁は12ミリくらいにします。すると、見た目より軽く感じる器にできます。
 どっしりと力強く見え、そして実は軽い。そんな作品ができるといいです。
 
 厚めに作りましたが、乾燥させると少しばかり薄くなり、径も26㎝で作ったのですが23センチになりました。炻器ですから焼くとさらに縮むでしょう。
 以前穴窯で備前を焼かせてもらったことがありましたが、窯出しで、出てきた作品の小ささにがっかりしたことがありました。できれば大きめに作りたいものです。
 しかし、我が家の小型電気窯「プティ」 は内径が24センチなので、直径23センチの作品でも自分の指がじゃまになって窯入れに苦労します。
 今回は備前焼?ではありますが、土灰と松灰をスプレーガンで吹きつけてから窯入れしようと思っているので剥落しないかすこし心配です。
 
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 よく乾燥させた後700度で素焼きをしました。直径23センチの作品が4個できました。やはり窯入れの時、両手で持って入れることはできませんでした。  
 素焼きは問題ないけれど、施釉後は大丈夫かな?
 
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 ろくろに乗せ、丸く切った紙を糊で貼りました。スプレーガンを使うのでただ乗せただけでは吹きとんでしまうからです。これで牡丹餅ができる予定なのですが...。
 実に邪道というべき方法ですが、素人の楽しみですから許してもらいましょう。
   
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  松灰は茶こしで振り掛ける程度の経験しかありませんので、どのくらいの厚みに吹きつければいいのかわかりませんから、今回は紙の厚みくらいにしておきました。
 スプレーガンで全体に均一に吹きつけておいてから、一部厚めに吹きつけました。どう焼きあがるのか実験です。
   
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 紙を剥がしました。糊が強かったのか剥がれにくくて困りました。ないよりはましな模様ですが、単調すぎます。
 エッジがはっきりしすぎているのが実にわざとらしい。うまくいってほしいのですが。
 
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 見ての通り「プティ」の内径は24センチなのでギリギリです。ろくろ引きで直径26センチ以下に作っておけばOK。なんとか入りました。
 どうなるかわかりませんが藁も乗せてみました。1230度で焼きます。珪砂というものがないので棚板にはしっかりとアルミナを敷いておきました。  
   
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  焼きあがりました。それらしくは見えますが、土灰が多すぎたのでしょうか、とにかく艶がありすぎて気に入りません。藁のおかげでしょうか牡丹餅の部分に軽く還元がかかり、緋色と紫蘇色がでています。これは良いですが。次回は土灰なしで試します。  
 素人が、電気窯で、しかも1回目で成功するはずもありませんね。再チャレンジします。
   
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 第2弾です。松灰はいい感じにかかりました。かわりに今回は火ぶくれができてしまいました。1230度では大丈夫かと思っていたのですが...。電気窯はやはり登り窯に比べて昇温が早すぎるのかもしれないし、紫蘇色も出ていないのでやはり還元が必要なのでは?
 実に悔しい!、この悔しさは癖になりそうです。そして我々は陶芸にはまっていく。
   
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 予想通り10℃下げて1220℃で焼成したところ、火ぶくれはできませんでした。自分の窯や使っている粘土に適した温度が少しずつ判明していきます。
 吹きつけた松灰がよく乾燥してから、刷毛でなでてやると右側の写真のような効果がでました。 
 
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 前回鋳込みで作った蕎麦猪口と薬味皿に松灰を吹きつけて焼きました。土は備前土1号です。白っぽい素地に松灰ですが、いい感じに焼けました。
 鋳込みに時間をかけて、やや厚く作った作品です。皿の変形はありませんでしたが、猪口の方はなぜか少し歪んでいました。
 備前焼は周到に計算して取り組まないと、まず成功しないということがわかりました。経験を生かし、データを取って実験を重ねたいと思います。

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小型ガス窯を手に入れました。 [陶芸]

 今回は、短時間で昇温でき、しかも超低価格な小型ガス窯についてレポートします。色々と工夫しながら小型のガス窯を作ってきましたが、なんともうまくいきません。ある程度大きな窯ならば容易に昇温できるのですが、小型となるとやはり電気窯が適しているようです。調べていると、セラミックウールを使った小型のガス窯に出会いました。小さなバーナーで、わずか3時間で本焼きができるとのこと。どのようなものか手に入れたいところでしたが、かなり怪しくもある。     
 ネットオークションで、古い商品ですが、未使用の窯と出会いました。「ドリームキルン2」という名前で、1万円くらいの商品でしたので、落札してみました。 
 
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燃焼筒・炉蓋
(大・中)
(内径36cm・30cm)
燃焼筒・炉蓋
  (小)
  (直径17cm)
炉台

(直径42cm)
台座
(60cm×30cm)
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煙道 遮断版
炉口
(30cm×30cm)
・バルク・硬化剤
 ・補修材
 
 以上の部品がかなり大きな箱に入って到着しました。説明書は入っていません。これらは「イビウール」と呼ばれるアルミナとシリカを主成分に、高温で融解、繊維化された耐火材・断熱材だそうです。  
 軽いのですが下手な持ち方をすると壊れてしまいそうな感じです。触ると手が白くなります。すえつけたらそのまま動かさずに使用するのがよさそうです。
 どうやらこれらを積み重ねるだけで使用できるようです。以前イソウールボード(900×600mm×25mm)を25000円も出して購入したことがありますが、耐久性の違いは別として、耐火度は同等。販売当時は高価だったのでは? 
 
組み立ててみます
 
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 台座の上に炉口と遮熱板を乗せてみます。手前に見える隙間にプロパンバーナーを差し込んで固定し、遮熱板を被せて使うようです。適合バーナーは20000円くらいするようなので、またいつか購入することにします。
 全部積み重ねると右上のようになります。炉台の上に燃焼筒、炉蓋、さらに燃焼筒の小さいものと炉蓋、煙道を載せ、煙突となるようです。
      
       サイズは約83㌢×59㌢×53㌢、重量23.5kgとなります。
 
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 炉は燃焼筒(大)の中に(中)を入れてそれぞれに蓋をして使うようです。説明書がないので手探りです。
 
素焼きをしてみました
 
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 専用のバーナーがないので、とりあえず、いつも使っていた「kinari」のバーナーを使ってみます。
 このバーナーは専用のものと比べて非力なので、うまく温度が上がるかどうか?
   
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 土台は耐火煉瓦で代用します。熱電対は以前350円で購入した中国製のものを使います。
  はじめてなのでゆっくりと温度を上げていきます。おそらくは窯の温度を上げていくにつれ、窯自体も焼け締まっていくものと思われます。慎重に。
   
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 このように煙道をずらしながらダンパーの機能を確かめています。このように煙道を動かさず、全開にしていると、300℃付近で温度の上昇が止まるようです。
 しかし形状も鑑みて、この絶妙の位置は設計時に試行錯誤を繰り返した作者の苦労が伝わってきます。
 
  非力なバーナーではありましたが、能力の余裕をもって、2時間半で800℃達成。これはなかなかの窯でございます。この窯が10000円なら、自作窯につぎ込んできたお金はいったい何だったのか!と思いながらも、これをヒントにもっと安価な窯を自作したいと企む自分が恐ろしい。
 
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 無事に素焼きができていました。今回は3時間近くかけましたが、何の問題もありませんでした。
 
 普通に火を小さくしても200℃に昇温するのに10分くらいしかかからないので、これは問題です。窯に張り付いてバーナーの調節をしつつ焼成しなければなりません。しかし、そこがむしろ面白い!
 
   色々と試し焚きをしてみましたが、還元焼成がうまくできません。確かに専用のバーナーがないので正常な使い方をしておらず、小さなバーナーに対して焚口が大きすぎるのではないか、2次空気が取り込まれすぎているのではないかという疑問がわいてきました。そこで適すると思われる大きさの穴をあけた断熱耐火煉瓦を使って焚口を狭くしました。結果、温度の上昇が早くなりすぎてヤバイ感じです。ガスの消費量は抑えられるのですが。還元焼成にするのはムズカシイ。
    サイト工事中  

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備前焼による鋳込み形成に挑戦 [陶芸]

 冷たいビールが飲みたい。備前焼のビアマグを冷蔵庫できりりと冷やしておく。しかもそのビアマグは薄づくりで大きめでなければならない。あの備前焼独特の野性味が気持ちをそそる。中ビン1本をなみなみと注いで一息にのどを潤す。疑いようもなくビールは最初の一杯が最高にうまい。それにすべてがかけられる作品を作ってみようではないかというのが今回のテーマである。
   しかし、大きめの備前焼のビアマグで、しかも薄づくりなどみたことがありません。なぜなら大きく、薄くろくろで挽くなど容易な作業ではなく、手作りではとても量産が割に合わないからでしょう。型作りなら容易にできますが、手作り感のない備前焼など、だれが求めましょうか。まして、あったにしても食器棚に入らない大きさです。絶対に主婦は購入しません。したがって市場に出回らないのは当然です。      
  さて、私は仲間と形のそろったビアマグで至福の一瞬を味わいたいのです。となれば型による鋳込み形成で作るしか手に入れる方法はないのです。
 
用意するもの
 
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tape1.jpg
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hisyaku11.jpg
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備 前 土 布テープ 計量カップ 柄杓・漏斗 ろ く ろ
enbi21.jpg
kuzu1.jpg
keisannatorium1.jpg
tool1.jpg
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塩化ビニールパイプ
(直径14㎝)
陶芸用粘土 ケイ酸ナトリウム
(水ガラス)
陶芸用小道具 油 粘 土
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    mixer1.jpg    
石  膏      撹 拌 機    
 
型づくり

①   塩化ビニルパイプ(直径14センチ程度)を加工します。長さ  25㎝に切断し、二つ割にします。大きなホームセンターでは100円程度で切ってくれるところもあります。         
 布テープで切断箇所を厳重につなぎ、片側が開くようにしておきます。もう片方の切断面は石膏が漏れない程度に布テープでふさいでおきます。 
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② ろくろで大きめにビアマグを水びきします。今回は一つ型で作りますので、型から抜けないような形にならないように形成します。
 あくまでもこれは型取りの原型なので、厚めに作っておくのがよいです。早く乾燥してしまうと後で石膏型から取り出しにくくなるからです。
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③   半乾きになったところで底を削ります。この時全体の形が理想的になるように削り込み、なめし皮で滑らかにしたり、指で意図的にろくろ目をつけたり、櫛やへらで装飾をします。
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④   ビアマグの型を伏せた状態で塩化ビニルパイプをかぶせ、パイプの下部と台との隙間を油粘土でふさぎます。これにより流し込む石膏の下からの流出を防ぎます。陶芸用粘土でもふさげますが石膏の混ざった粘土はそのあと使い物になりませんから、くず粘土使いましょう。
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⑤ 溶いた石膏を気泡ができるだけ残らないようにていねいに撹拌してから流し込みます。石膏を水でゆるく溶くと気泡は抜けやすいですが、型の強度が減るので石膏は適量の水で溶きましょう。   
 石膏型の強度が下がると4~5回の使用で型が変形し、使い物にならなくなります。
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⑥   石膏がかたまったら型からはずして型を傷つけないように注意し、中の粘土も抜き取ります。水分の多い石膏型は傷つきやすいので内側には細心の注意をはらってください。乾燥させてから水で洗い流すのがベストでしょう。         
 離型剤は特に必要ありませんでしたが、塩化ビニルにカリ石鹸でも塗って乾燥させておけば心配ありません。
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⑦   石膏型は2~3日屋外で自然乾燥させます。基本的に触ったとき冷たく感じなければ乾燥したといえます。     
  鋳込み作業の後も同じように乾燥させますが、決して電熱器などの熱源で乾燥させてはいけません。60度以上に熱すると結晶水まで追い出してしまい、石膏型の強度が低下します。
 
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泥漿づくり  
 
 泥漿とは、粘土に最小限の水とわずかの水ガラスを加えて十分に撹拌した液状の粘土のことです。混合する割合を間違えると石膏型から離れないなどの問題が起こりますので正確にはかりましょう。粘土の乾燥具合で水の割合も変わってきますからデーターを記録しておきましょう。
 
①   粘土を薄くスライスして乾燥させておきます。水に溶けやすくなります。   
 できるだけ少量の水で溶くほうが作業効率の良い泥漿となります。ところがハンドミキサーを使っても、少ない水では容易に溶かすことができません。   
 むしろ気長に放置して溶かす方が利口というものでしょう。陶芸はあせらないことが大切だといえます。
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② ポリバケツによく乾燥させた粘土1㎏に対して水350mlを加え、ハンドミキサーでよく撹拌します。なかなか溶けませんが水はできるだけ少なくするほうがよいでしょう。   
 さらに全体量の0.2%の水ガラスを加えます。水ガラスのアルカリが泥漿の流動性を良くします。トロリと糸を引くように流下すれば成功です。   
 水ガラス(ケイ酸ソーダ)が手に入りにくい場合は重曹でも良いらしいのですが、分量のデータがありませんので、あらかじめ水溶液にしたものを徐々に加えて、加減してください。
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鋳込み作業  
 
① 一昼夜ねかせておいた泥漿をさらにミキサーでよく撹拌します。寝かせるほどよい泥漿になります。
② よく乾燥させた石膏型を直射日光の当たらない水平な場所に置き、泥漿をゆっくりと注ぎます。
   泥漿の中にダマが残っていると仕上がりが悪くなるので茶こしでこしながら注ぎましょう。
   石膏が水分を吸収していくので、表面張力で盛り上がるくらいに入れておきます。
 そのまま放置します。
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③  石膏に接する部分の泥漿がかたまり、適当な厚さになったところで泥漿を石膏型からバケツに戻し、直射日光の当たらないところでゆっくりと乾燥させます。
   泥漿を流した時に石膏型のふちに泥漿が付いてしまいます。触って指先につかなくなるまで乾かしたら、柔らかいうちに上手に端からまくりこんで剥がしていきます。へらで削り取っていく方法もOKです。
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④ 指先だけで上手に剥がすことができました。タイミングを外して乾きすぎてしまうと、きれいに取れないので注意しましょう。
   後は風通しの良い場所で直射日光を避け、ゆっくりと乾燥するのを待ちます。
   乾燥が進むと、右の写真のように型との間に隙間ができてきます。
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⑤ 型の中の粘土は乾燥とともに、少しずつ縮んでいき、自然に型からはずれます。むりやり熱風をあてたりすると作品が変形したり、石膏型がいたむので、自然に乾燥させましょう。 
  ふちをきれいに削り、湿らせたスポンジで軽くなでます。さて、うまくいったので量産してみましょう。
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 単なる勢いですが、夏と言えば、そば、ソーメン、冷やしうどん、冷麦。そこで蕎麦猪口も作ってみました。薬味をのせる皿が、蓋になるという、よくありがちなパターンですが、やってみます。   
 型作りは細密に致します。蓋の高台が蕎麦猪口の口にきっちりとはまること。それでこそ蓋ということができ、完全なる相棒と呼ぶことができると思うのです。どうでもいいことかもしれませんが、仲間を呼んで、楽しいひと時を送るには、おしゃれな演出だと思いませんか?        
 この器は茶碗蒸しにも使えそうです。 
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 よい石膏型ができたら、右のようにシリコンゴムを流し込んで原型を残しておくのがよいでしょう。
   皿のような薄い型なら、シリコンゴムが硬化した後容易に石膏型から抜き取れますが、厚い型は抜き取りにくいので、中空のゴム型になるようにしておかなければなりません。
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陶芸窯の自作について [陶芸]

pot.jpg  左は私が最初に作った灯油窯で焼いた磁器のポットとどんぶりです。灯油窯は燃料のコストが安く、還元焼成ができるので、磁器を白く焼き上げるのに適しています。これは素焼きの上から石灰3号(三合)釉をかけて焼いたものです。 あれから30年も経過してしまいましたが、良い思い出になっています。
   
 今回は日曜陶芸家、あるいはベランダ陶芸家であった私の「窯づくり体験談」をUPしたいと思います。若い人を含めても全国で、かなりの人数の方が自宅で陶芸をしたいと考えているそうです。しかし、問題はどこでやるのかということと、資金です。奥様の理解がないと絶対に不可能ですね。 
 かくいう私もかつてアパートで生活していたころにはベランダ陶芸家でありました。部屋探しのときも1階の部屋で、広めのベランダつきを借りることにいたしました。さて、次は窯です。書店で色々と資料を探しましたが、「カラーブックス」の「陶芸入門」という本にそれらしいものが紹介されていました。
 
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 なんと理科の実験で使うブンゼンバーナーを利用しているではありませんか。「陶芸入門」によると、この程度の窯は容易に制作できるそうです。
 短時間で昇温し、耐火煉瓦はイソライトB5で成功したということですが、1200℃以上の高温焼成は楽焼とは違い、ゆっくりと昇温しなければまず成功しませんから、おそらく特殊な素地土を使ったものと思われます。しかし、陶芸窯の手作りなんて夢がありますね。
   
自作灯油窯について
 
touyu1111.jpg  当時は陶芸材料店も少なく、インターネットなどというものも存在していませんでした。情報もなければ材料もないのですから、窯を作ることはとても現実味がありませんでした。 そこで、遠くの陶芸材料店を訪ね、そこの主人から情報を手に入れることにしました。
     上側
touyu31.jpg  耐火煉瓦をつなぐモルタルはできるだけ薄く塗ることや、煙突は小さく作ること(熱が逃げてしまう)や、炉内に発泡耐火煉瓦を貼り付けると速く温度が上がることなどを教えていただき、たいへん勉強になりました。
 設計については既製品のカタログから炉内の容量や幅、高さを参考にさせてもらいました
     横側
 
 まず、鉄工所に頼んでフレームを作ってもらいました。鉄工所では、私の描いた設計図を基にコンピュータで必要な強度を計算し、使用する鉄板の厚みや、補強のL字鋼を溶接する部分を適正に割り出してくれました。
 次にフレーム内にSK34くらいの耐火煉瓦を敷き、発泡耐火煉瓦を重ねて本体を作り、蓋は耐火セメントと鉄筋をつかって作ることに。灯油窯がコスト安なので、中古のバーナー火口と送風機、燃料タンクを手に入れ、なんとか完成に至りました。
 結果奇跡的に1300℃付近まで温度を上げることができましたが、陶芸店のご主人によれば、焚口や煙突などは、位置、大きさともに設計のプロに見ていただかないと絶対に温度が上がらないそうです。 
 設計上もう一つ大切なことは、窯の外を覆う鉄板と煉瓦の間に隙間をつくることです。バーナーで熱せられた時の煉瓦と鉄の膨張率の違いによる損傷を防ぐことや、水蒸気の逃げ場を作るためです。300℃になるくらいまでに、かなりな水滴が落ちるくらい煉瓦から水蒸気が出ます。中の作品や窯自体を傷めないためにも隙間は必要です。
 
デジタル温度計キット
 
 一番の問題は温度計でした。熱電対と温度計のセットで当時15万円もしたのです。すでに5万円も使っていたので、温度計を購入すると正規の商品を買うのと変わりなくなってしまいますからいけません。ゼーゲルコーンを使おうかとも考えたのですが、「秋月電子商会」でK式デジタル温度計のキットを売っているのを見つけ、自作いたしました。
 
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 このキットは2,500円程度です。スイッチ、端子などは別に入手しました。ケースもついていませんから上の写真のように木箱で作り、液晶保護のためアルミ板を加工したものと基板で蓋をはさんでねじ止めをしてあります。 本体は説明書にある改造をすれば(簡単です)1250℃まで測定可能です。こんなものでも自作すれば楽しいものです。
 
 しかし最近K式デジタル温度計が1,500円くらいで手に入ります。精度もまずまずなので、それを使うのもいいでしょう。
 
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 左はAMAZONで購入したクロメル・アルメル線を使った、いわゆる「K」と呼ばれる規格の熱電対です。径5ミリ、測定部の長さ100ミリでステンレス製。補償線も本格的なものが2メートル付いています。送料込の350円でした。
 商品は、中国から発送されているようです。
   
160609_1046~011.jpg  オークションで見つけた「K式」熱電対を4,200円で購入しました。長さは30センチ径は1.5センチです。ステンレス製の保護管を外してみると、かなり太い線が使われているのが確認できました。保護管がステンレスというのがもうひとつです。
   
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 補償導線はついていませんでしたので、壊れた350円の熱電対についていた補償導線を切り取り、左の写真のように、ねじで止めて完成。どちらの端子がプラスかマイナスかは温度計につないで確認します。間違えていれば温度はマイナス表示されます。
   
 壊れては困りますが、自作温度計と市販の10万円もする温度計で計る温度誤差がたとえ30℃以上あったとしても、安物の温度計の表示する温度で釉薬が融けたというデータさえあれば次回も問題なく同じものが焼けるのではないでしょうか? 私は他人のデータを使うとか、自分のデータを他人に伝えるつもりがなければ世界共通の正確な温度など必要ないと思うのです。趣味の陶芸はそのほうが面白いと思います。
 
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 左は温度計の略図です。熱電対とミリボルトメーターが使われています。保護管で絶縁された熱電対の先端で異なる種類の金属が溶接されています。
 この熱電対を加熱すると微量の電圧が生じます。安価なミリボルトメーターを使おうとする方は熱電対標準起電力表を参考にしてください。
   
 ミリボルトメーターの+端子に白金側を、-端子に白金ロジウム側をつなぎ、電圧を測定し、温度を測定します。本焼きに使う熱電対は高価ですが白金ロジウム製がいいでしょう。

 注意しないといけないのは白金ロジウムを使ったR式の熱電対とクロメル・アルメル線を使ったK式の熱電対では同じ温度でも起電力が違うということです。熱電対と温度計はセットになっていますから、たとえばR式の温度計に安いからと言ってK式の熱電対をつないだのでは正しい温度ははかれません。しかし、熱電対基準起電力表を基にミリボルトメーターではかるのであれば熱電対は種類を問いません。
 
自作電気窯は簡単に作れて安全
 
 以前作った灯油窯は、大きいし、焼成中に危険が付きまとう上に音がうるさいのでアパートでは使えませんでした。職場の空き地で楽しむのが関の山だったのです。その後秋葉原で「カンタルA線」を購入し、200ボルト電源でつかう電気窯を作りました。
 昇温については、完全に温度を制御できないといけませんから、スライダックは必要です。ブレーカーやスイッチもあったほうがよかったですが、なくても危険はなく、作品を焼くことができました。コードリールを使う場合はコードを巻いたままにしていると発熱して危険なので、すべて伸ばしてから使用します。
 
 カンタル線と電線をつなぐ部分は、そのままでは高温になりますので、放熱する工夫が必要です。電線も熱に耐えられる被覆がしてあるものを使います。
 
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 まず、カンタル線を通して固定するために鉄棒にドリルで穴をあけます。次に鉄棒を曲げてハンドルを作ります。
 作業台に5寸釘を打ち込み、逆U字型に曲げて、鉄棒の先端を差し込み、矢印の方向に回転させながらカンタル線をスパイラルに加工します。
 この時、2人組で作業をします。一人は鉄棒でカンタル線を巻き取り、一人はバーナーでカンタル線を軟化させます。隙間なく詰めて巻き取り、その後必要な長さになるよう伸ばして加工します。
   
七輪電気窯をつくる
 
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 ホームセンターで七輪を見かけました。七輪を重ね合わせて窯にするやり方は有名です。ただ、小さいものしか焼けないとか、汚れた感じに焼きあがるので、(これが味があってよいという考えもある)不満がある。という方もおられます。それはさておき、思いつきですが上絵付け用の電気窯を作ってみようと思いました。
 つまり、普通の茶碗が焼けることを目指します。 七輪は1,400円、ニクロム線は600w2つで400円でした。さっそく持ち帰り、七輪の内側を彫刻刀の丸刀を使って削り、直径13センチの茶碗が入るほどに広げました。  
   
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 次にニクロム線がおさまる溝を掘ります。鉛筆で下書きをしておき、彫刻刀で掘り込んでいきます。かなり力を必要とする上に溝が欠けないようにしなければいけないという大変な作業でした。
 溝の幅は、ニクロム線を押し込んで取り付けられるくらいの小さめがよく、深さは深めがよいようです。送風口は断熱耐火煉瓦を削った物をつめてふさぎます。
 ニクロム線は2本を並列つなぎにして使います。七輪の左右に穴をあけて2本のニクロム線の端を外に出し、耐熱被覆をした太い導線に繋ぎます。電源は100ボルトをコンセントから直接取ります。
   
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 とりあえずは実験です。 最初にかなり刺激臭がします。窓を全開。10分で400℃くらいに昇温しました。スライダックで制御しなければ窯としては使えないようです。使ってるうちに七輪の内側にひびが入りますが、問題ありません。ニクロム線が溝から飛び出してくる場合は耐火パテでニクロム線を溝に埋めてしまえばOK。
 70分で800℃になりました。830℃以内で使用すれば断線することなく、当分使えるようです。

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焼酎サーバーをつくってみました。 [陶芸]

 今回は備前焼で焼酎サーバーの自作に挑戦してみたいと思います。備前焼で作った焼酎サーバーは焼酎の味を良くすると聞きますが、どう良くなるのか気になるところです。個人の見解ですが、他の花瓶と比べて備前焼の花瓶は水が腐りにくく、花が長持ちすることを確認しています。備前焼は遠赤外線を放出しているということで、その効果らしいのです。
 4年前にネット通販で焼酎サーバー用のコックを買っていたのですが、いざ本体を作るとなると腰が引けて、そのままになっていました。理由は、コックを取り付ける穴の作り方がわからないことでした。粘土は乾燥と焼成で縮みます。コックを正確に固定できる穴の空け方がわからないという問題があったのです。大きすぎるとぐらつく、漏れる。小さすぎると入らない。これは難しい。
 最近は焼酎サーバーの価格もお手頃になってきました。形もいろいろなものが流通しています。しかし、昨年挑戦した備前焼鋳込みのビアマグも、自分で作ったからこそビールを味わい深く楽しめるのだと思っています。仲間を呼んで飲むときも、自作であればこそ話のネタになり、楽しめるではありませんか。
 
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 これが焼酎サーバー用のコックです。長さが8センチ、高さが5.5センチもあります。これを取り付ける本体の大きさはどのくらいがバランスがよいのか?これも難しい。 
 サーバー本体の高さは20センチ以内の物がよく売れているようです。しかし、これを取り付けるには最低限サーバーの中に手が入らないとねじを締めることができないので、ある程度の大きさは必要ですし、一人で使うので小さいほうがいいという気持ちもあり…どうすれば?
   
ろくろ挽きをします。
 
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 備前土2号を使用することにします。昨年購入したままで放っていたため、固くなっていました。十分練ってからろくろに据えました。
  大きさは直径20センチの鏡餅大でやってみます。
 ろくろを回しながらこぶしで叩いて内側をへこませていきます。同時に外側からも叩いてきれいに形を整えます。 
     
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 まず、底をしっかりと締めて、筒状に引き上げます。この時濡らせたスポンジを両手のひらにひそませて作業すると、水が切れることがないので便利です。
 高さは25センチくらいまで引き上げておきます。徐々に膨らみをつけて壺状にします。
 円筒形の方が作りやすいし、穴の問題も解決しますが、小型でできるだけコックとのバランスがとれるように、この形にしました。また、口の部分はラップをかけて輪ゴムをで止めようと思っているので輪ゴムがかけやすいような形にしておきます。
     
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 ちょうど良い大きさのガラス瓶のふたがありましたので、これを柔らかいうちに押し付けて、コックを取り付ける部分をへこませます。
 半乾きになったところで、少し技術が要りますが底削りをし、コックのねじのサイズで穴をあけておきます。乾くと穴は小さくなり、焼くとさらに小さくなるので、いったん素焼きにしてから穴を広げたいと思います。
     
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 仮にコックを取り付けて、水平になるように調整しました。ちょうどいい角度に固定して、粘土が固くなったらはずします。
 半乾きの時にやりましたが、タイミングを外すとひびが入ってしまうので本体の厚みは十分にとっておいた方がよいと思います。
 持ち上げて使うものではありませんから、全体を同じ厚みにしておけば多少分厚くても問題はないと思います。ある意味で初心者でも作れるでしょう。 
     
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 蓋を作ります。本体を作った時に、口の外径をはかっておき、今度は内径にその大きさを合わせて成型します。
 蓋の縁はやや内向きにすぼめておくと本体と合わせた時にがたつきがなく、おさまりがよいようです。
 しかし、いかにすり合わせよく蓋ができても、そのまま使えば焼酎のアルコールは蒸発してしまうでしょう。においも気になります。そこで本体の口にラップをかけて輪ゴムで止め、それを隠すための蓋にしようという計画です。
 とりあえずここまでで十分に乾燥させます。 
     
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 無事、素焼きが完了しました。少し厚みがあるので乾燥状態が気になっていましたが、よく乾いていたようです。本体は、電気窯「プティ」になんとかおさまる高さだったので助かりました。
 いつものように松灰にふのりを加えて水で溶き、スプレーガンで吹き付けました。うっすらと吹き付けるくらいが焼き上がりがよいのですが、少しかけすぎたかもしれません。
   
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 厚さ2センチの杉板を加工して、焼酎サーバーを乗せる台を作りました。台がなければ使えないことは、誰にでもお分かりになることでしょう。
 ジグソーを使って切断しました。この2枚を組み立てて作ります。着色してワックスを塗りました。ワックスは控えめなつやが出るので落ち着きます。 
     
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 本体は、うまく焼き上がりました。焼成温度は20度です。電気窯で松灰という焼き方がはたして備前焼といえるかどうかわかりませんが、自分で気に入れば趣味の陶芸としては十分だと思います。
 コックをとりつけたところ、水を入れて様子を見るとわずかに漏れていました。そこで、内側のねじの部分と、外側のワッシャーとコックの隙間に、水道の水漏れ修理に使う「シールテープ」を巻きつけて締めなおしたところ、水漏れは止まりました。 
     
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 焼酎を入れた後、ラップをかけ、輪ゴムで止めます。
 次にラップにつまようじかなにかで穴を5つ空けておきます。そうしないと空気が入らない分、焼酎の出が悪いようです。
 ふたをして完成です。
   
serverz2.jpg  コックとサーバー本体のバランスですが、思ったより悪くないようです。高さは17センチほどに焼け締まりました。小型とはいえ、焼酎が楽に1.8リットル入ります。
 さて、焼酎の味についてですが、入れてから2~3日寝かせると聞きますから、そのようにしてみます。
 話は変わりますが、このようなものを堂々とリビングに置くのは、アル中の原因になりはしないでしょうか?たとえば高級そうなビンに入ったブランデーなどがリビングのサイドボードなどに置いてあっても、昼間から手を出そうという気になりませんが、焼酎はどうでしょう。怪しいものです。
 それならばこの焼酎サーバー作りには美意識を持って取り組み、インテリアとして部屋の雰囲気を豊かにする風格のある作品に仕上げることが肝要かと思います。 

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抹茶茶碗を焼いてみました。 [陶芸]

 以前15キロほど購入していた志野土を発見しました。一度もビニール袋から出していないのにカチカチに固くなっていました。
 その瞬間、制作意欲がなえてしまい、しばらく放っておいたのですが、備前土1号も使い果たしたことであるし、再生することにします。
 とりあえずワイヤーでスライスしてみたのですが、なんとも固くて大変でした。できるだけ薄くスライスし、水を入れたポリバケツに浸けて3週間ほど放置しておきますと、泥状になっていました。
 例によって自作の粘土吸水鉢を使い、再生します。十分に練った後数日寝かしてから使います。 
 
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志野焼きとは
 
 釉調は淡雪のような白いもので、厚くかかっています。素地土の鉄分がその淡雪のような釉薬を通して赤みがさして見えます。見どころは何といっても柚子肌の釉薬ですが、のびのびとした野趣あふれる造形や、絵・文様も重要な要素だと思います。 
 素地土はもぐさ土という焼きしまりにくい土を使うため、お茶が染み出すことがあります。志野釉も、高い温度で焼くと、きれいに融けて純白ではなく半透明になり、ピンホールもできず、面白みがありませんから、自分の場合、市販の釉薬は低めの温度で焼成するようにしています。 
 極めて味わい深い焼き物です。素人目にはあの無骨さが「自分にもできそうだ。」と見られがちですが、良い志野焼とは、単なる無為自然の産物ではなく、作者の工夫、経験、人知を尽くし、なおかつ自然の力による調和のとれた作品で、決して簡単にできる焼き物とは言えないでしょう。
 
まずはろくろ挽きです
 
sagyouba11.jpg  私の作業場所はリビングです。床にシートを敷いて、ご覧のような状態でロクロ作業をしています。必要なものだけ用意して作業し、済んだらすぐに片付け、拭き掃除をします。何といっても「リビング」ですから。出しっぱなしにしていると床から机、いすやテレビ、なんでもざらざらになってしまいます。本当は大きなロクロを買いたかったのですが、片付けることを考えるとこの小型がよかったですね。いつもはクローゼットの中に収納しています。
 
suyaki1.jpg  700度で素焼きをしました。普通は窯に4~5個入るのですがこの筒型は2個しか入らず、もったいない気がしました。私はろくろ目を付けるのが嫌いなのですが、志野焼きはろくろ目の一つもなければ面白みが出ないような気がするので、軽く入れてみました。 しかも無造作で面白味のあるろくろ目がいいと思うのですが、私の技術では無理なようです。
 
コンプレッサーで施釉します
 
seyuu12.jpg  電動ろくろに乗せて、まわしながら少しずつ志野釉を吹きつけていきます。釉薬が粉っぽくつかないように、流れそうになる一歩手前で止める要領で吹きつけると定着がよいと思います。あらかじめ素焼きの素地にベンガラを薄くぬって焼いてみることにしました。
 
sino12.jpg  焼きあがりました。酸化焼成で1220度。ピンホールは少なく、色合いもおよそ雪のような白さではありません。次回はもう少し厚く施釉してみようと思います。縁には濃くベンガラをぬっていたので、黒く発色しています。薄くベンガラを塗ったところも黒っぽくなっていました。本当は緋色を狙っていたのですが無理なようです。緋色を出すためには長時間の焼成と徐冷が必要だそうで、やはり電気窯では無理なのでしょう。
 
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 釉薬は志野ではありませんが、志野土で、白天目釉を使うとどうなるかを実験してみました。白天目釉をスプレーガンで吹付け1220度で焼成。
 「プティ」を使い始めてから気になっているのですが、天目釉の剥がれが100%起きるようになりました。おそらく昇温プログラムや素地と天目釉の相性が悪いのでしょう。
 結局直径22センチになりました。これで冷やし中華をいただきます。
 
sino411.jpg sino511.jpg  これは志野釉で焼いたものです。バケツに溶いた釉薬にくぐらせて施釉し、底についた釉薬をブラシで落としてから焼成しました。
 志野というより、透明釉という感じになりました。焼成温度は1240度です。  
 
sino611.jpg  やはり志野焼きは難しいと思いました。私のようなA型人間には厳しい分野だと思います。期待していた緋色も釉薬の縮れも再現できませんでした。日をおいて何度かまた挑戦してみようかと思います。
 
天目茶碗の制作
 
 天目茶碗を作ってみます。粘土は信楽を使うことにしました。理由は特にありません。10キロを1000円くらいで購入した物ですが、1230度で焼いた作品が焼け締まらず水が漏れることがあったので、やや不安です。
 
tenmoku211.jpg tenmoku12.jpg  天目茶碗独特の「すっぽん口」はまず写真のように内側に鋭く口を折り、胴に緩やかに膨らみをつけてから、最後に口に濡らしたなめし皮を当て、外側に広げて作ります。
 
tenmokuseyu11.jpg  素焼き後に黒天目の釉薬をコンプレッサーで吹きつけました。
 普通は茶碗の高台をつかみ、釉薬を溶いたところに浸けて沈め、上下に素早く振りながら引き上げることにより施釉しますが、この茶碗は高台が小さく持ちにくかったので、高台付近まで浸けこみ、引き上げてから内側のみコンプレッサーを使いました。
 
tenmokuseyu21.jpg  写真の通り、釉薬は均一にかかりますが、粉が吹いたようになっています。
 これを防ぐためには流れる寸前まで吹きつけ続ける必要があります。内側だけに流れてしまっては問題がありますから、これで焼いてみます。
 
図1.jpg  不満はあれど無難に焼きあがりました。口縁部に釉薬の剥がれがあります。1230℃で焼きましたが、やはり信楽の素地土は焼け締まっていません。
 釉薬の方は薄いところではアメ色になるほどよく溶けています。釉薬と素地土の相性はよいとはいえません。しかし、このたびは施釉をスプレーガンによる吹付で行ったせいか、きれいにできたと思います。 
   
禾目天目も焼いてみました
  
nogime11.jpg  禾目天目です。新日本造形の釉薬を使いました。酸化焼成です。以前焼いたときは上部が茶色で、下部が漆黒となり、茶色が毛のように流れて、黒に溶け込む感じでしたが今回は釉薬が違うので別な焼き上がりになりました。     
 色見本通りの茶色に金色の禾目が見られます。その形状や色合いは場所によって程よく変化しており、光の当たり加減で様々な表情を見せてくれます。 
   
図1.jpg 図1.jpg  黒天目の釉薬で黒い禾目になったことがありました。これは、作ってから何年も放置していたものを攪拌して使ったのですが、容器の底の方に何かが沈殿したままになっており、(灰色の物質)偶然できた小さな油滴が流れたものと思われます。銀色の禾目がきれいに出ていました。

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七宝焼きのガス窯を手に入れました。 [陶芸]

 オークションで七宝焼のガス窯を見つけました。東邦ガス製らしいのですが、ネットでどこを探しても七宝焼のガス窯はUPされていなかったので驚きです。当然この製品の大きさや使い方など、まったく不明。現在製造されていないということは操作が難しいとか、危険だとかといった問題があるのかもしれません。しかし、この窯でどのようにして炉内の温度を上げていくのか、実に興味深いですね。
 私は現在自作の陶芸用小型ガス窯の研究をしていますが、バーナーによる昇温は時間もかかりますし、調整が難しいものです。このガス窯がどんな仕組みになっているのか興味津々で、購入に至りました。
 今回はこの希少な製品についてレポートいたします。
 
7p11.jpg 7p141.jpg  ちゃんと元箱に入った状態で届きました。興味本位で13,000円も出しての購入にはさすがに抵抗がありましたが、絵具が28色と、小道具が一揃い付いていましたので、これだけで確実に元は取れています。しかし、私の関心は、この窯の構造です。
 説明書もあり、美品ではありますが、型番の記載もなく、プロパンガスで使うのか、都市ガスで使うのかの記載もありませんでした。東邦ガスということで、おそらく都市ガス仕様だと思います。 
 
7p151.jpg 7p161.jpg  ご覧ください。このレトロな説明書の写真。いかにも経済成長期真っ只中の製品という雰囲気で、いいですねえ。
 本当はいつ製造された物なのか説明書にも記載がありません。ネット検索でもかけらもヒットしないということは、もしかして日本に現存するものはほとんどないのかも?
 
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7p81.jpg 7p101.jpg  外観はこのようなものです。私が小学生のころ(昭和40年代)我が家にこのようなデザインのトースターがありました。
 かなりレトロですがほぼ傷もなく錆もなく、塗装も美しい。ただ、色のセンスが昔風です。しかし私的にはこのレトロさに満足。  
    
7p121.jpg  外扉を開けると金属製の中扉が見えます。中扉は下に取り付けられた蝶番で前に倒して開く構造になっています。これは開けている状態です。
 一般的には扉には断熱のため耐火レンガなどが取り付けられていますが、これには付いていません。中扉は厚さ1ミリ程度のステンレス、外扉もステンレスの内張りで、中空です。 
 なんと説明書には外扉をを開けたまま焼成できると書いてあります。温度計がないため、内蓋の穴から目視でということでしょうが、逆に温度計が必要ないということは温度が上がりすぎない設計なのだという技術者の自信も感じられます。 
    
7p21.jpg  中扉を開けると上部にセラミック製のヒーターが見えます。この部分はもろいので下手に触るとすぐに壊れるそうです。ここから放出される赤外線が焼成に有効ということです。焼成には7~8分で十分と説明書にありました。
 ということは、窯全体を温めるまでもなく、ヒーターの直火で焼成してしまおうということなのでしょうか?当然着火は自動ではありません。
 最近はオーブンや電子レンジで陶芸ができる時代なので、何があっても不思議に感じないのですが、アンティークな代物として興味深々。
    
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分解してみると、フレーム内に3分の一程度の厚みの耐火れんが(イソライト製)が組み込まれ、耐火モルタルでつないであることが確認できました。  
 上部の黒い部品はセラミックヒーターです。左側のラッパ状の部分にガスバーナーのノズルが固定されていました。エアーの調節もここで行うようです。   
    
 7p41.jpg 7p51.jpg  右がバーナーのノズルとエアーダンパーになります。中央に見えるノズルの穴の内径は1.6ミリもあります。0.8ミリを超えていれば都市ガス用のノズルと判断されるようなのですが、試しにプロパンガスを通して燃焼させてみると、ダンパー全開でも不完全燃焼になりました。合掌。
 やはりこの窯は都市ガス用でした。なにしろ古いものなので、ガス屋さんに見てもらっても、サイズの合う交換ノズルは手に入らないという結論に。 
    
7p231.jpg  最終的な手段として、真鍮はハンダ付けができますから、ハンダでノズルの穴を埋め、新たに小さな穴を開けることが考えられます。この場合、はんだごてなどではノズル全体を温めきることができませんから、ハンダ自体が溶けてもうまく真鍮に馴染みません。また、温度が高すぎてもハンダはのりません。したがって、この真鍮製のノズルをバーナーで適温に温めながらはんだごてでハンダをノズルの先端に盛るように流し、十分に冷ましてから極薄くなるまでやすりで平らに削ります。ノズルの中心に縫い針をあて、小さな金づちで根気強くやわらかく打ち込んでいき、約0.5~0.8ミリの穴をあけることによって、結果めでたく都市ガス用からプロパンガス用のノズルに改造できました。  ただし、完璧にハンダを盛ることができていなければ、ガスが漏れて不完全燃焼につながるし、ハンダですからノズルが過熱しすぎると溶けて事故につながることも覚悟が必要です。しかし、このバーナーは構造上ノズルにたいした熱は伝わらないようなのでこのやり方を採用します。使用時はいつ何時でも元栓を閉められる態勢で作業します。  
    
7p91.jpg  このように完全燃焼をさせることに成功しました。当分過熱を続けましたが、特に問題はないようです。コックを開けながら火力は調整できます。しかしコックを全開にすると炎がバーナーからあふれて上に伸びていきます。当然作品に当たっている炎の部分は温度が低いことになります。
 温度計がついていないので、熱電対で実際温度を測ってみると、約730度までしか温度が上がりません。    
    
7p241.jpg  これは本体裏面にあるガスコックにつながった部品です。素人の私には何の部品なのかはわかりませんが、「ガバナー」と呼ばれるガス圧を調整する部品のようです。中を開けてみると、ゴムとバネが入っていましたが、構造が今ひとつわかりません。
 ねじをしぼってみたところ、炎が上からあふれでる不具合は多少解消できたような気がするのですが?  
    
 炉内には鉄製のクラ?が入っていました。。このクラはわずかですが、高さを調節できます。これでバーナーと作品の距離を調節するのでしょうか?確かに作品を丁度よい位置に持ってこないと適切な温度は得られないようです。ならばなぜこのように炉内が広いのか?少なくともこんなに高さは必要ないと思うのですが。
7p191.jpg    7p201.jpg 7p221.jpg
    
 私がなぜこのようなガス七宝窯に目を付けたのかというと、早く昇温ができて明らかに、コスト安。熱線を使っていないので半永久的に壊れない。加えて還元焼成ができることにあります。

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七宝焼きの窯を手に入れました。 [陶芸]

 今回は、絵付けに使うため、七宝焼きの窯を格安で入手しようという長年の野望に挑戦いたします。炉内の高さが10センチもあれば本焼きをしておいた小皿や茶碗などに絵付けができます。当然楽焼もできます。七宝は趣味ではありませんが、20数年前に買っておいた材料や絵の具を発見したのでとりあえずできます。タイルの絵付けなども手軽にできると思います。
 何よりよいのは通常40~50分ほどで800℃に昇温できるので、電気代が節約できるということです。
 
sippou18.jpg  ネットオークションでこの窯を手に入れたのですが、なんと2900円で落札に至りました。なぜ、競争相手が低い金額で手を引いたのか?自分は商品の写真を見た限りでは、かなりの美品で、なおかつ炉内の寸法も十分なのですけれど。
 確かにかなりレトロな雰囲気です。実際送られてきた段ボールを開けるとき、少し不安が…。
 ネットの相場では、古い型でも美品となると最低1万円というところなので、6000円は出してもいいなと思っていました。
   さて、その実態は?  
 
sippou41.jpg  ふたの部分は塗料が剥げたり浮いています。のぞき穴の当たりも傷が目立ちます。しかし、割合と損傷の程度が低いようです。あまり使用頻度も高くなかったのでは?
 上部に擦り傷、側面に塗料の変色が見られます。下部の緑色の塗装は、ほぼ無傷でした。  
    
 sippou51.jpg    内部です。綿埃のように見えるのは断熱材です。床の部分の左方に溶けたガラスが少々付いていますが、ほぼ無傷です。
 実はこのように電熱線が取り替えられるタイプの物を探していました。電熱線は消耗品なので、この種の自分で電熱線を修理できるものが都合がよいのですが、最近はカートリッジ交換の物が多いです。ホームセンターで売っているニクロム線で交換すれば、かなり安く修理できます。  
    
 sippou141.jpg    裏を覗くと上と左右に碍子管を通して6本の熱線が出ています。これらをスイッチの切り替えで3段階に昇温調整ができるようになっていますが、実に簡単な構造ですから、誰でも修理できます。しかし、きれいなものでした。もっと焼けているのかと思っていたのですが。
 他のコードはパイロットランプにつながっています。一番後ろの線は熱電対から温度計へとつながっています。 
    
 sippou31.jpg  sippou21.jpg   左が昇温をコントロールするスイッチです。この写真では見えませんが、下は磁器製です。やはり年代ものです。右は温度計です。やはり古めかしいですが、ここまできれいだと、かなりオシャレに見えます。
     なんかすでに満足感が。
    
 だいたいK式の熱電対とミリボルトメーターのセットでも3~4万円くらいかかるものを、こんなにきれいな状態で2900円とは ?何かあるにちがいありません。熱電対が折れているとか、熱線が切れているとか使い込んで酸化しているとか細くなっているとか。

 以前やはり七宝焼きの窯を修理したことがありましたが、3時間以上かけても500℃までしか温度が上がらず、その辺の店で電気コンロ用のニクロム線を買ってきて古いものと交換しました。古いニクロム線は外す時にボキボキと折れました。通電すると、40分ほどで800℃に昇温いたしました。

 陶芸窯の熱線は40回~100回の使用で本焼きの目標温度に昇温できなくなります。できるだけ温度を上げすぎないように、最高温度は短時間で終わらせることが熱線を長持ちさせる秘訣なのだそうです。
    
sippou62.jpg  なんと200ボルトのプラグが付いています。しかし本体は100ボルトです。七宝焼きの窯が200ボルトなどということはありえません。もしかして、オークションの競争相手はこれを見て勘違いをしていたのかも。

 分解すると電線は2本つながっているだけでした。おそらく電源を取るコンセントの形状にあわせて付け替えたのでしょうが、なぜ100ボルトでこの形状のコンセントなのか。アースを取っているわけでもないのですが。
    
sippou71.jpg    以前ネットでアンプを購入しましたが、タバコのにおいがひどかったので分解してマジックリンで洗ったことがありました。茶色い汁がドロドロと出ました。
 3日ほど外で乾燥させてから電源を入れると、何の問題もなく動きました。それ以来、ネット購入の電化製品は洗っています。
 この窯はICとか基盤とかを使っていないので、迷うことなく洗いました。これで我が家の一員となれます。しかし、レンガは乾くのに1週間はかかるでしょう。 
    
 sippou81.jpg    ついでに分解掃除と塗装をします。分解して確信を持ったのですが、この窯は数回しか使っていないようです。ねじが数本錆びついていました。  
 窯は温めると外枠に水滴がついて、錆の原因になるのですから、ステンレスのねじがよいのですが、当時値段が高かったのかなあ。
 しかし、このレトロな感じが気に入ったので、本気できれいにしてみます。ちょっとしたインテリアとして置いておけるレベルにしてみます。
    
 nejizaurusu11.jpg  nejizaurusu21.jpg   やはりここで「ねじザウルスGT」の登場でした。錆びて回らなくなったねじや、ねじ山がつぶれたねじも、こいつでくわえて無理やり回転させます。
 2本ねじ切れてしまいましたが、想定内の損傷でした。古いねじをすべてステンレスのねじに交換します。 
 
sippou91.jpg sippou101.jpg  電源プラグを交換しました。ホームセンターで170円で買いました。やはりこれのほうがしっくりときます。
 右は耐熱塗料です。1500円くらいでした。500℃まで耐えることができるそうです。高温で焼きつけると完全に定着するそうですが、高温になるのは一部なので、普通に吹き付けます。
    
 sippou111.jpg    炉の底の板を取り出しました。七宝焼きの窯はどうしてもこうなってしまいますが、きれいにしようとすると、板が欠けてしまいます。
 ここでは丁寧に磨いて、本サイトの「棚板の補修」で紹介したアルミナコーティングで修理します。こうしておけばガラスが溶け落ちてもアルミナの層が保護してくれます。    
    
sippou151.jpg    見違えるようにきれいになりました。本当は1100℃で空焼きすれば定着するのですが、本体が縮んでしまい、組み立てられなくなるのでいけません。
 しかし、ただアルミナを塗ったのでは、流れたガラスから本体を完全に保護するのに力不足なので、これでよしとします。触ったくらいではとれませんから。 
    
sippou121.jpg sippou201.jpg   塗装が終わりました。問題はねじの壊れた部分なのですが、ふたのねじ穴を耐火パテでうめて、塗装することにしました。熱による鉄板の変形が予想されますが、下の部分なので案外大丈夫かもしれません。
 組み立てました。炉床部分もきれいになり、新品のようです。
    
sippou172.jpg
 取っ手や切り替えスイッチもピカールでみがき、ねじも全部取り換え、きれいになりました。昔の特撮映画に出てくる正体不明のマシンのようになり、個人的には満足です。ねじは外せるようにしたので、今後ニクロム線の交換も塗装のやり直しも簡単です。
 さて、電源を入れてためし焼きです。やはり水洗いの時の水分が抜け切れておらず、蒸気が当分出ていましたので、ふたを開け、200℃を1時間ほどキープして温めました。しかし、せっかく塗りなおした前の面が変色してしまいましたので、再び塗装しなおしに。
 昇温速度も普通で、800℃に上がりました。熱線もほとんど劣化していないようです。   

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