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電気窯で備前焼を焼いてみました [陶芸]

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 左は前回に備前土の鋳込みで作ったビアマグとそば猪口、薬味皿のセットです。

 全部一つ型で作りました。この形で量産ができるようなので、手始めに緋だすきで焼いてみることにしました。

 最終目標は松灰での焼成でございます。
   
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 藁を叩いたり揉んだりして柔らかくしておき作品に巻き付けます。藁と土が接する部分がオレンジ色になるのですが、大体の予想しかつきません。
 緋だすきは釉薬を使いませんから1250℃で焼成しても作品どうしがくっつきません。ただし、藁の当たっている部分で、土がよく溶かされ、くっついてしまう場合もあります。
 しかし、木槌などでやさしくたたいてやれば、簡単にはずせます。
重ねて焼かないほうが無難かもしれません。
   
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 小型電気窯「プティ」に窯づめしたところです。熱線を使っている電気窯では緋だすきを焼くと窯がいたむので実のところあまりお勧めできません。最近ついに熱線の取り換えとなり、費用は45,000円でした。
 経験上備前土は1230℃付近の焼成に適したブレンドがされているようなので、それ以上の温度では表面がざらついたり、火ぶくれができます。1280℃などの高温で焼成すると、新品からわずか8回の焼成で熱線の交換になられた方もおられたそうです。備前土は1号も2号も1220℃がベストだと思っています。
 
   
備前陶土の価格差の謎 
 
 備前陶土は現在人工的にブレンドされて自然に近いものが生産されています。本来は田んぼの底深くにある土を掘りだし、精製してから数年寝かせたものをつかっていましたが、そのような土は現在大変貴重なものとなっています。
 さて、10キロの価格が、A店では 2,835円。B店では3,780円。C店では1,600円などと格差がありすぎ。当然これに送料が含まれるので、どの店で購入すればよいのか頭が痛いです。前述したように粘土の成分が違うので、使ってみないとろくろ挽きの時の扱いやすさや、耐火度、焼成後の土肌の違いなどの善し悪しがわかりません。
 私は近所のC店で購入しています。自宅まで届けてくれ、そこで代金を払います。送料、手数料なしです。備前焼の本当の良さがわかるようになったら高い土にも挑戦してみたいと思っています。  
 
蕎麦猪口が焼きあがりました。
 
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 とりあえず火入れをして24時間後に完成。温度は1250℃でうまく焼け締りましたが、あまりにも素地が薄かったようで、薬味皿が歪んでしまいました。
 前にも述べましたが、1230℃を超えないように焼くほうが表面はなめらかに仕上がるようです。ただし、強度には問題があると思います。分厚い作品の場合は、まったく問題ありません。
 そば猪口自体は歪みもなくうまくできていたのに残念です。次回は少し厚めに鋳込んでみようと思います。 
   
やっと念願のビアマグができました。
 
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 左の写真は焼成前と焼成後の比較です。乾燥と焼成で約2割縮むといわれていますから、ある程度計算をしたうえで鋳込み型を作る必要があります。
 割り型にするとつなぎ目が変色するので釉薬を使わない特に緋だすきには不向きです。したがって一つ型でつくりましたが、割り型とちがって、自然に型から離れるのを待たないといけないので1日1個作るのが限界のようです。
   
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 厚さ2ミリ、高さ17センチで手の中の納まり具合も気に入りました。こいつを冷蔵庫(冷凍室)でキリキリに冷やしておき、ワイルドに飲んでみたいものです。
 食器棚に入らないので冷凍室が食器棚代わりです。ビール500mlを氷点下に冷やしておくと、ちょうど納まるサイズにできました。
 ただ、どうも緋色の景色が気に入りません。大量生産して気に入ったものができるまで飲むのは我慢いたします。  
   
少し工夫して焼いてみました。  
 
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 乾燥させたところでキッチンペーパーやガーゼを使い表面を徹底的に磨いてから焼成すると、しっとりとした艶がでました。
 間違っても紙やすりなどを使ってはいけません。傷が目立ち、安っぽい仕上がりになります。
 以前窯元さんから聞いたのですが、備前焼は釉薬を使わないので、表面のマチエールである程度勝負が決まるということでした。滑らかに仕上げると緋色が流れるようについていくということでした。
 最初に焼いた表面がざらざらな作品と比べると高級感がまるで違います。日進月歩でございます。 
   
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 前回タコ糸で藁を縛り付けましたが、今回は輪ゴムで固定してやりました。むろん輪ゴムがやけてなくなっても藁が取れてしまわないようにしておきます。
 こうすれば素人の私でも意図的に襷模様を入れることができます。藁の間隔だとか角度だとか、思いのままです。
 まず、作品に輪ゴムをかけて、藁を輪ゴムと作品の間に通していきます。模様のことを計算しながら藁の位置を移動していきます。普通の輪ゴムを使うと、その成分のせいなのか色が付くことがありますので付け加えておきます。
   
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 納得ができるまでこだわりぬいておきますと、焼き上がりが実に楽しみになりました。
 蕎麦猪口の薬味皿は裏返すとなんとなくいい感じで茶碗蒸しに使うときはこれで使おうと思っています。
 なお、前述しましたが皿は厚めに鋳込まないと歪みます。最終的に1220℃~1230℃度にするとブクもでず、歪みも少なく、緋色も優しくなることがわかりました。何度も言いますが、プティではこの温度の焼成が最適だと思います。 
   
ついに完成いたしました。  
 
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 やっと思うようなビアマグができました。写真の解像度が悪いのでうまく写っていませんが、土肌の艶やかさは、備前緋だすき特有の香り立つような色気を感じさせてくれます。気に入ったのはこれ一つですが、このあたりが陶芸の醍醐味でしょう。
 冷凍室で凍らせておいて、きりりと冷えたビールをゆっくりと注ぎます。すると器の周りについた霜がゆっくりと解けていき、景色が変わっていきました。
 ふんわりと泡がメレンゲのように膨れ上がり、口にすると、何とも言えない感触を味わうことができました。 薄づくりで、磨き上げということもかなり重要で、口当たりが実に心地よいものでした。
   
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 粘土10キロでビアマグ12個とそば猪口13個、薬味皿15個ができました。
 やはり終盤になってくると石膏型が甘くなったり、粘土の状態もなんとなく悪くなってきましたのでいいものばかりできたわけではありませんが、仲間と遊ぶには十分な数ができたと思います。

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