プルシアンブルーで布を染めました。 [アート]
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プルシアンブルーをつくってみました [アート]
今回は放射性セシウム結合剤として、事故でセシウムを摂取した場合に実際使われたというプルシアンブルーの合成に挑戦いたします。プルシアンブルーの作り方は簡単です。
プルシアンブルーは我が国では江戸時代にコバルトなどの高価な顔料に代わって輸入され、浮世絵の顔料に使用されました。 葛飾北斎の版画や、伊藤若冲の絵画に使われたということです。
この日本で紺青と呼ばれる青色顔料は、1704年ドイツで偶然発見されたそうです。鉄のシアノ錯体に過剰量の鉄イオンを加えることによって得られる顔料です。作り方により、プルシアンブルーはベルリンブルー、ターンブルー、アイロンブルー、などとも呼ばれています。日本では「ベルリンブルー」が訛って「ベロ藍」とよばれていました。
陶芸でいう「ベロ藍」とはいわゆる「コバルト」を指し、「人工呉須」とよばれ、自然から採取される酸化コバルトを含んだ「天然呉須」よりも鮮やかです。この「ベロ藍」で印刷され、大量生産された磁器は「印判手」ともよばれて、ある意味では品のない安物としてあつかわれてきました。
間違えてはいけないのは、陶芸でいう「ベロ藍」とはコバルトから作られたものであって、鉄から作られたものではないということです。プルシアンブルーとは別物です。コバルトは釉薬に混ぜると少量でも藍色に発色して焼きあがります。ところが鉄から作られたプルシアンブルーは顔料として絵具や染色には使えますが、熱に弱く、分解して藍色には焼きあがりません。
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用意するもの | |||
ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)
酸カリウム(赤血塩) |
硫酸第一鉄(結晶) | 乳 鉢 | 上皿天秤 |
ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム(赤血塩)と硫酸第一鉄(結晶)は、いずれも通販で簡単に手に入ります。
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プルシアンブルーの作り方(手順)
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①
硫酸第一鉄を2グラム取り出します。写真のようにやや粗い結晶です。 鉄分を含む低酸素の湧水で、透明なものでも代用できましたが、くんできて半日で使えなくなりました。 鉄イオン濃度や、存在する鉄バクテリアの量など、条件が不安定なため一定の結果が出ません。
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② 精製水を4㏄加え、よく混ぜます。かなり溶けにく いので、 乳鉢を使うほうが作業は早いでしょう。 |
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③ ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム25gを精製水75㏄に溶かし、赤血塩の水溶液を作ります。これもなかなか溶けないのでしっかりと撹拌しましょう。
作った水溶液は保存がきくようなので、ホームセンターで売っている薬瓶などに入れておきます。
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④
②で作った硫酸第一鉄水溶液に③で作ったヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム水溶液を3cc加えます。 直後に青い沈殿を生じます。
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⑤
撹拌すると瞬時に粘り気が出てきますので、しっかりと撹拌します。すると不思議なことに体積がふえていきます。 これでプルシアンブルーができました。その後乾燥させることにしました。当然、顔料ですからそのまま膠水や亜麻仁油などで溶けば絵具として利用できるでしょう。 |
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できたプルシアンブルーは2週間ほど自然乾燥し、粉砕して保存します。乾燥するのになぜか大変時間がかかります。
写真のように水でよく洗っても乳鉢が青く染まっています。染色に利用されてきたことに納得できます。 |
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このプルシアンブルーの藍色はパイプ洗浄剤のような強アルカリに浸けますと、すぐに消失し、酸化鉄本来の色に戻ります。 プルシアンブルーは通常では変化することはほとんどありませんが、熱やアルカリに弱く、分解し、変色します。 |
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