SSブログ

ねじ穴の修理 [工作]

 今回は、つぶれた金属のねじ穴を修理する方法についてUPいたします。
 ねじが空回りしてしまらない。あげくのはてに引っ張るとねじが抜けてしまったという経験は誰にも覚えがあることでしょう。

  鍋の取っ手など、熱が加わるものや、締めたり緩めたりしなければならないもの、強い力が加わる部品など、接着剤で補修できないものは修理をあきらめて、捨ててしまうことも多いかと思います。
 
stand14.jpg
 さて、これは3980円で購入した安物のドリルスタンドです。高さを調節して固定したいのですが、写真中央のストッパー(ねじ)が壊れたらしく、空回りしています。当然固定できません。
 ねじの素材は鉄ですが、ねじ穴が切ってある部品の素材はアルミでした。おそらく何度も使っているうちに削れてしまったのでしょう。アルミのフライパンなどの取っ手がよくこのようになります。
 分解してみました。なるほどねじ穴の山がほとんどつぶれています。これはたいへんな力がかかる部品であり、ねじを締めたり緩めたりを繰り返さないといけない部分なので、接着剤での補修はできません。
   
stand21.jpg stand31.jpg  ねじを切りなおしたいところですが、アルミのねじ穴対鉄のねじですから、どうしても使っているうちにアルミのねじ穴が削れて緩くなり、そのうち壊れてしまうでしょう。
     
stand51.jpg stand61.jpg
 これが今回の救世主となる「リコイル」と呼ばれるものです。バネのような部品で、エンジンのプラグのねじ穴の修理によく使われています、熱に強く頑丈です。
 壊れたねじ穴をドリルで削って少し広げ、タップでねじ穴を切ってから、矢印の部分をラジオペンチではさんでくるくるとねじ込みます。なお、写真は上下が逆になっているので注意しましょう。取り付け後に矢印の部分を折り取ります。マイナスドライバーなどをあてて軽く金づちでたたけば簡単に折れます。
     
stand72.jpg
 ねじを切るタップとダイスのセットです。昔3000円くらいで購入したものですが、サイズで困ることはありませんでした。安物ですが、買っておけば一生モノです。
 これを使うときはドリルスタンドと万力が必要です。今回はそのドリルスタンドを修理するのですが...。
   
stand81.jpg
 そのドリルスタンドには小さな万力が付いていたので、アルミの部品をはさんで固定し、ドリルの刃を慎重に回転させ、古いねじ穴を削ってきれいにすることに。
 「リコイル」は内径8ミリを使用するので、外径はおよそ10ミリになります。従ってドリルは9ミリを使いましたが、やはり対アルミなので、刃に粘り付いて回転が止まってしまいます。こんな時ドリルスタンドがあれば簡単に穴が開くのですが。
 穴あけが失敗すればすべては終わりなので正回転、逆回転、低速、高速を繰り返して慎重に作業を進めます。
   
stand91.jpg
穴が開いたので今度は10ミリのタップでねじを切り込んでいきます。
 タップとダイスのセットにはピッチをはかるゲージが付いているのであらかじめピッチを調べておきます。
 ねじのサイズは径だけでなく、ピッチも確認してから適合する「リコイル」を購入しなければなりません。同時に径とピッチの適合するタップを選んで、正しく作業しましょう。ねじ切りは失敗が許されません。
 相手はアルミなので、径は大きくても楽に作業できます。ただし万力がないと無理でしょう。
   
stand101.jpg stand111.jpg
 さて、ねじ穴があいたら「リコイル」をねじ込んでいきます。小さなラジオペンチではさんでくるくるっと。
 簡単に入るので、なんだかそのうち抜けてしまうのではないかと考えたりしますが、このバネのような構造がそれを防ぐようです。
 ねじ込みに使った部分を折り取り作業終了。
     
stand1211.jpg
 ご覧の通りきっちりとねじがはまるようになりました。「リコイル」は鋼鉄なので、もう削れてしまうことはありません。
 アルミは加工しやすいので、このような量産品の安物の材料に使われるのでしょうが、このひと手間で長く使える道具に生まれ変わります。
   
stand131.jpg
 修理は完了し、将来的にもねじ穴がゆるくなる理由はなくなりました。このドリルスタンドは、あまり使っていなかったので今回修理しようという気になったわけですが、80円の品だったので、処分して新しいものを買うという選択肢もありました。
 安さの理由はすぐに壊れることにあるのでしょうが、やはり直して使うべきだと思います。そうしたエコな取り組みが広がればいいと思うのですが、「リコイル」の存在を知らなければ私も修理はしなかったとも思いました。
 この部品はまずホームセンターでは扱っていませんし、専門店でも必要なサイズが手に入るとはかぎりません。また、1個50円くらいなのですが10個単位でしか売っていません。ネットで購入すると高くつきますが、私のように工具を持っている人は購入の機会に各サイズをそろえておくのもよいでしょう。
 オフィスの椅子のねじなどもよく壊れますが、さっと直せると、ちょっとかっこいいですね。

タグ:ねじ穴修理
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

陶芸温度計の自作 [工作]

 今回は、かつて自作の電気窯を作った時に使用した、これまた自作のデジタル温度計について詳しく紹介いたします。
 自作とはいっても秋月電子通商から通販で購入したキットを使ったもので、私のオリジナルではありません。
 お金をかけずに陶芸を楽しむには窯も温度計も、小道具に至るまで作ることが可能なものはすべて作らねばなりません。この苦労も楽しみのひとつでした。
 
ondokei.jpg ondokeiI1.jpg
 
 これが秋月電子通商から送られてきたキットです。9Vの四角い電池を電源として使います。
   -200℃~1250℃まで測定できるということです。熱電対がついていませんので別に購入する必要があります。 
 本来このキットはー40度~100℃を測定するために設計されているのですが、部品を変えることによって測定範囲を変えるということです。 
 ICL7136CPL(A/Dコンバータ)と三端子IC温度センサー、LCDディスプレイが主な部品で 割合と正確に温度がはかれます。これらをICソケットにはめ込んだり、ダイオードや抵抗、コンデンサーやポテンションメーターを基板にはんだ付けします。 
 基板にはんだ付けするのがやや面倒ですが、中学生でもできる作業です。 
 
ondikeiF1.jpg  このような小さな基板を使います。ICソケットや、その他の部品をまちがいなく取り付けられるように、親切な作りになっています。
 説明書に書かれていることをよく理解し、一つずつ確実に取り付けていけば、とりあえずキットは組みあがります。
 基盤は2枚ありますので、スペーサーを挟みます。
    
ondokeiA2.jpg
 木箱の中に組み上げたキットを収めました。熱電対につなぐ端子と電源スイッチは別購入です。  
 写真のように木箱の蓋に端子とスイッチをボルトで固定し、導線で基盤とつないではんだ付けします。  
    
ondokeiC1.jpg  裏側から見た状態です。キットは説明書通りに作れば、まず間違いなくできるのですが、ここは自分で考えてやっていかなければなりません。
 
私などは、持ち合わせの導線が細かったのではんだ付けしてもいつのまにか切れてしまい、基盤づくりに失敗したのか部品が壊れているのかテスターをあてて調べたり、悪戦苦闘でした。 
    
ondokeiD1.jpg   ondokeiE1.jpg  バーナーで熱電対をあぶると836℃ を表示しています。 
    
ondokeiO1.jpg
ondokeiP1.jpg 
 今度は氷に塩をかけてから温度をはかってみると、ちゃんと氷点下を表示しています。
 熱電対とキットを合わせて3000円くらいなのは納得。  
 何よりも自作は「おしゃれ」で「かっこいい」です。 
    
 いろいろ試しましたが、1500円程度で販売されている温度計よりは正確だと思います。ただし800℃までの話で、それ以上の温度も測定しますが、R式の温度計の測定値と比べて誤差が50度以上ありました。
 また、熱電対も今回使用したようなおもちゃでは高温の測定にかなりの誤差が出ることもわかりました。K式の本格的な熱電対も、4000円くらいで手に入れることができますので、熱電対にもこだわりたいものです。

タグ:陶芸温度計
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。